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ゲーム作りに関するあれこれ

ゲーム作りに使える心理学【上昇選好】

ゲーム作りに使える心理学として上昇選好を紹介する

上昇選好とは

人は連続して何かしらが連続で起きる時に、それらの満足が拡大することを好む、ということである。

日常の上昇選好

上昇選好は給与やお小遣いの金額の変遷を例に挙げるとわかりやすいだろう、私たちはこれらの金額が上がると喜び、下がると嘆く。面白いのは元々の金額の大小は関係ないところだ。前の値と比べてどうなっているかが重要である。

ゲームにおける上昇選好

ゲームには多くの成長要素が含まれている、RPGの場合はキャラクターや武器の各種パラメータの値の上昇、新しい仲間や、スキル、アイテムの獲得だろう。基本的にプレイすればするほどキャラクターは強くなっていく。また、格闘ゲームや対戦FPSなどキャラクターの能力値をプレイ時間などで大きく変更することが好ましくない場合は、称号や煌びやかなレアスキンなどで満足度が上がるようになっていく。ソーシャルゲームなどは持っているレアカードの枚数、プレイヤーランク、称号、マイホームのスキンなどがあるだろう。

あと忘れてはならないのはゲームプレイをすることでそのゲームに対してのスキルが向上することがある。スキルが向上すれば、今まで倒せなかった敵を倒すことができたり、今までいけなかったステージまで到達することができたり、ハイスコアを取ったりすることができるようになる。

これらの要素によりプレイヤーは遊ぶほどゲーム内で成長し、上昇選好により満足を感じるようになる。

ハマるゲームは成長のタイミングの提供が上手い

ゲームは現実と比べて成長が簡単であることが多い。スポーツ、楽器、勉学などと比べてある程度時間をかければある程度のところまで成長できる。今時のRPGに限って言えば時間さえかけさえすれば誰でもクリアできるだろう。スキルを必要とするものの場合も、時間をかければキャラクターを強化でき、クリアしやすくなる仕組みを入れているところも多い。さらに成長を感じるまでの期間もリアルの活動と比べて短いだろう。もちろんe-sportsのような例外はあるのだが。

ここでハマるゲームはこの上昇選好を刺激するための成長のタイミングのスパンがちょうど良いのではないかと考えた。例えば序盤はプレイヤーが覚えることが多いため、難しい課題は配置せず、簡単に終わるものを用意する、そして何かあるたびにプレイヤーを褒めるのだ。褒める方法はランクアップでもNPCに褒めてもらうでも、なんならファンファーレ一つでも良い。そしてゲームが進むたびに成長要素を少しずつ省いていく、ただし、ずっと体験が平坦なものにならないように、地点地点でしっかりとした成長体験を与える。RPGで例えると中ボスの撃破や新しい仲間の参入、転生や転職で大幅パラメータアップなどだろう。

プレイヤーは小さな成長体験の積み重ねと時々発生する大きな成功体験を感じながらゲームを進め、その集大成として世界を救うなどの最大の成長体験をするのである。

ゲーム作りでの応用その1 断続的な成長

まずはプレイヤーに断続的な成長をしてもらうことが重要だろう。ゲームプレイで成長を感じることができなくなるとプレイヤーはゲームをやる価値を削がれていくだろう。

ある程度ゲームをプレイしたら、何かしらのパラメータを成長させたり、アイテムをあげたりできると良いだろう。

ゲーム作りでの応用その2 各種パラメータの見える化

各種パラメータの見える化をすることも成長体験を刺激することに役立つ。キャラクターのパラメータは当たり前だが、今まで倒した敵の数やプレイ時間、移動距離など特にキャラクターパラメータにあまり関係ないものでも効果があるだろう。これらは基本的に積み上がり系のものが良い、例えば所持金だと使ったら減ってしまうが、今まで獲得したお金の総額だと、積み上がるばかりになる。つまりゲームをプレイするたびに成長するパラメータだ。これらの変遷をグラフで見たり、カードで一括でみることができるようになっても面白いかもしれない。

ゲーム作りでの応用その3 序盤における成長機会を増やす

言うまでもなくゲーム序盤は重要だ。プレイヤーはこのゲームが面白いかどうか、この後も続けてゲームをするべきかを無意識に考えている。ここでプレイヤーに小さな成功体験を積み重ねてもらうことで、プレイヤーにこの世界でもうまくやっていけそうだ、と考えてもらう。例えばお使いなどがそうだろう、ほぼ移動と簡単な戦闘で済むこのクエストはプレイヤーに小さな成功体験をしてもらうのと、ゲーム上の重要な操作である移動、戦闘を覚えてもらうのにも役立つ。他には、キャラクターのできることに制限をかけることも序盤でできる成長機会を増やすことができる。キャラクターのスキルにそれが必要になるタイミングまで制限をかける。そして必要になった時に解放するのだ。今までできなかったことが出来るようになったと言う満足とともに、新しいスキルの学習効率も上がる。

まとめ

良いゲームは成長を感じる機会をうまく提供しており、それは要素の足し算だけではなく要素の引き算や既存のパラメータの見える化などでも実現できる。