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ゲーム作りに関するあれこれ

ゲーム作りにおける好奇心の使い方

今回はゲーム作りにおける好奇心の使い方を考えてみる

好奇心

物事を探求しようとする根源的な心。人だけではなくある程度の知能を持った動物もこれを持っていると言われている。

好奇心と遊び

好奇心と遊びは切っても切り離せない関係である。なぜならば、好奇心が遊びを生み出すからだ。人は正体のわからないものがあったときに、それらを解明しようとする。子供はその傾向が顕著だろう。知らない物事に対して臆することなく近づき、それを解明しようとする姿はさながら小さな冒険者だ。その好奇心を満たすための自発的な作業こそ遊びなのである。

例えば自分がどんなものが作れるか、作れそうかという好奇心があればそれはお絵かきや、粘土細工、レゴブロック遊びになるし、自分の力量が相手と比べてどれくらいの位置にあるか、という好奇心があればそれは鬼ごっこや将棋などの競うゲームになる。

好奇心とゲーム

プレイヤーにゲームを楽しんでプレイしてもらうためにはこの好奇心が欠かせない。なぜなら好奇心のない作業は義務となり、つまらないものになってしまうからだ。その最たる例が仕事だろう。特にマニュアルが整備されている職業の場合、仕事はミスなくマニュアル通りに作業を行うことである。与えられた業務をただこなすだけの作業はつまらないだろう。

しかしながら、反対に仕事が楽しいという人もいる。これはその仕事をする人が好奇心をもっているためだと考えられる。ゲーム作りの話になるが、プランナーがどうやったらプレイヤーの記憶に残るゲームを作ることができるかを、好奇心で疑問に思った場合、それを試行錯誤して作っていく作業は遊びになるのである。

マニュアル系の仕事だとしても、商品をできるだけきれいに、早く陳列するにはどうしたらよいか、一番見栄えのよい盛り付けをするにはどうすればよいかなどを好奇心で考えればそれも遊びとなる。

ゲームは好奇心を持って自発的にやるからこそ遊びになるのだ。

※別に好奇心をもって仕事をすることを推奨しているわけではない

良いゲームは好奇心をうまく埋め込んでいる

良いゲームはこの好奇心の扱い方がうまい。ゼルダの伝説BTOWを例に上げよう。プレイヤーはまず洞窟からプレイをスタートする。洞窟からプレイを始めることで洞窟の外には何があるんだろう、という好奇心を刺激するのだ。そして洞窟から出ると、外の世界を一望することによって世界の広さを認識し、その世界がどのようになっているか知りたいという好奇心をもたせる。一望するムービーカットの最後に神殿跡や老人をアップすることでそちらに好奇心の意識を向かせることを忘れない。最初の4つの祠攻略のときも祠の周りの環境に違いを作ることによって、その周りの世界もそのくらい様々な世界がありそうだと意識させる。他にもコログの実や祠探し、それらの謎解きも好奇心を刺激するだろう。ゲームのそこかしこに好奇心の種がばらまかれており、プレイヤーはどこにいても好奇心を持ってゲームをプレイできるのだ。

好奇心の活用方法その1 ゲーム内に伏線を作る

好奇心を刺激する方法の一つに謎を作る、ということがある。プレイヤーが疑問に思うこと提示し、それに好奇心をもってもらうのだ。例えば、街の人に話しかけたら人によって全く逆のことを話す。道を大きく分ける。遠くに重要オブジェクトを目立つように配置する、伝説の武器の存在を村人がほのめかす、などだ。

好奇心の活法用法その2 フィードバックを散りばめる

プレイヤーが何かしらアクションを起こしたらきちんとフィードバックを起こすようにする。ゲーム内でアクションを起こせば何かしらのフィードバックが返ってくるとわかった場合、プレイヤーは何をしたらどのようなフィードバックが返ってくるかを疑問におもうからだ。ゼルダBOTWの科学エンジンなどはまさにこれだろう、火や風などのエレメントを木や船の帆などのマテリアルに適用すると木が燃えたり、船が進んだりする。これを見たプレイヤーは、他の組み合わせだったらどうかを試したくなってくるのだ。

好奇心の活法方法その3 ゲーム開発チームの座組をアピールする

ゲーム外の話になってしまうが、開発メンバーに有名開発者や絵師、声優を起用するのも好奇心の活用だろう。その人が関わっているから、あの開発会社の新作だからと興味を持ってくれるプレイヤーは一定数いる。

まとめ

プレイヤーに楽しんでゲームをプレイしてもらうためには好奇心が重要である。好奇心のないゲームはただのつまらない作業となる。

余談だが、私がSEKIROをプレイしたときにどうしたらこの敵を倒せるか、ストーリーの最後はどうなるかの好奇心でゲームを楽しんでいたが、トロコンを目標に経験値を集め始めた瞬間にそれはただの作業となった。

※トロコンしたら限定武器がもらえるとか、特別ムービーを見ることができるなどの仕様があったら、また違っていたかもしれない

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参考リンク

好奇心 - Wikipedia

Alfa・MARS PROJECT COLUMN リアルな、町の人の台詞の書き方

「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」が実現した“かけ算の遊び” - GAME Watch

参考書籍(Amazon)

ゲームデザインバイブル 第2版 ―おもしろさを飛躍的に向上させる113の「レンズ」