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ゲーム作りに関するあれこれ

ゲーム作りに使える心理学【後知恵バイアス】

ゲーム作りに利用できる心理学として後知恵バイアスを紹介する

後知恵バイアスとは

とある事象が発生した時に自分はそれが発生することを知っていた、察知していたと感じること。

後知恵バイアスの実験

フィッシュホフとルースベイズは実験で、1972年のニクソン大統領の中国ソ連訪問に関する外交活動において、起こりうる結果を15項目挙げ、被験者に対してそれぞれどの程度発生するかという確率を推定してもらった。その中には"毛沢東ニクソンとの会談に応じる"、"アメリカは中国を承認する"、"数十年にわたり反目しあっていた米ソが何らかの重要事項で合意に達する"などが含まれた。

そして、ニクソンの帰国後に再び同じ被験者に対して自分たちが起きる可能性を推定した15項目に対して推定した確率を思い出してもらった。その結果、実際に起きた結果については自分がつけた確率を多く見積もり、起きなかった結果に対して自分がつけた確率を低く見積もった。

後知恵バイアスの弊害

後知恵バイアスには弊害がある。それはとある事象が発生したことを知ってしまった場合、その事象に対して自身が感じていた意見や感情の再構築が難しくなる、ということだ。つまり、とある事象において間違った意見を持っていたとしても、それが覆されるとその、間違った意見をそもそも持っていなかったのように感じるのだ。

成功者に対しても後知恵バイアスがかかるだろう。彼らが成功し、輝いているとは"あの人の成功はなるべきしてなった、最初からすごい人だと思っていた"と考え、仮にその後失敗しようものなら"実は胡散臭いと思っていた"などと感じる。

ゲームに対しての後知恵バイアス

ゲームに対しても後知恵バイアスがかかるだろう、とあるゲームソフトをプレイした時に、それが何かしらの賞を受賞したと言われてプレイするのと、販売してから売り上げが全く振るわなかったと言われてプレイするのでは、いくら正当にゲームを評価しようとしても聞いた実績に影響されてしまう。

このバイアスはゲームを評価するにあたっての障害となる。ゲームオブザイヤーを受賞したゲーム内の要素はどれも素晴らしいもので、個人開発で無名のゲームの要素は悪いものであるように感じてしまうのだ。これではゲーム内の要素を適切に評価することが難しくなり、実際はそれほど重要でないゲーム内要素を真似して、結果面白くないゲームが出来上がる。

グラセフが売れたからオープンワールドは素晴らしい、ダークソウルが売れたから死にゲーは中毒性がある、と考えるようなものだ。

後知恵バイアスへの対抗策 その1

後知恵バイアスにかからずにゲームを評価するための方法として世間の評価を調べずにプレイする、というものがある。一度評価を知ってしえば、それは自分の評価に少なからず影響してしまうため、そもそも評価自体を取り込まないようにする。気になるゲームを見つけた時に、レビュー記事や購入サイトの評価を読まずに購入し、プレイ中にゲームの感想を記録してからクリア後に評価を見れば、自分と他プレイヤーが感じたことの違いがわかる。それらを比較しながらゲームのどの部分が良く、どの部分が悪かったのかを考える。

後知恵バイアスへの対抗策 その2

そのゲームの評価を心の中で反対のものに上書きしてプレイしてみるのも一つの方法だ。例えばゲームオブザイヤーを受賞したゲームを、全然売れなかったゲームとしてプレイしてみる。そうするとどんなに良いゲームでも、体験のアラが見えてくる。逆に売れていないゲームでも、ゲームオブザイヤー受賞ゲームとして遊ぶと、素晴らしい部分に気付きやすくなるはずだ。

まとめ

人はものを評価する時に前評判に大きく影響を受けてしまい、ゲームも例外ではない。

そもそもゲームは体験を提供するものであり、その体験を求めているかどうかでそのゲームに対する個人の評価は変わるものだ。

周りの評価に惑わされず、自分はこのゲームが面白かった、つまらなかったと主張できるようにしていきたい。

参考書籍