gametips

ゲーム作りに関するあれこれ

ゲーム開発に使える心理学【双曲割引】

ゲームに使える心理学として、双曲割引がある

 

双曲割引とは

同じような報酬であれば、獲得できるタイミングが早いほうが価値を高く、遅いほうがそれを低く感じるという概念。

仮に遅く貰える報酬のほうが、価値が高いと分かっていてもより早くもらえる小さな報酬のほうが優先して選択されるような経済学的に非合理的な行動にもつながる。

 

日常における双曲曲線の例

ダイエットがわかりやすい。眼の前にあるケーキという、近く小さな報酬の前には、ダイエット成功でスリムな体、という遠く大きな報酬が霞んでしまい、結局ケーキを食べることになってしまう。試験前に漫画を読んでしまったり、貯金したいのについ使いすぎたりしてしまう心理もこの概念で説明することができる。

 

ゲームにおける双曲曲線の例

ゲームではチュートリアルに双曲曲線が活用されているだろう。いきなり時間をかけて、大量の経験値を稼がせて報酬を与えるよりも、ちょっと進めればすぐにレベルアップする仕様のほうが、ユーザーがモチベーションを高くプレイしてくれることが想定される。そもそもチュートリアルの目的はユーザーにゲームのプレイ方法を覚えてもらうためである。プレイそのものに歯ごたえをもたせるよりも、眼前の報酬をサクサク取っていったらいつの間にかプレイ方法を理解していた、のような流れになる方が良いと考える。

ゲーム開発における双曲曲線の活用方法

ゲーム開発において双曲曲線を活用するために、細かなマイルストーンが挙げられる。ユーザーは小さくともすぐ手に入る報酬により価値を感じる性質をもっている。つまりマイルストーンを細かく分割してあとちょっとプレイすれば報酬が手に入ることをユーザーに知らせれば、ユーザーはひとまずそこまで、という感覚でプレイを続けてくれる。例えば敵の撃破数を例に出すと、序盤から100体撃破を最初の達成項目にするよりも、最初は1体撃破、5体撃破、10体撃破と刻んでいったほうがユーザーが報酬を獲得できるタイミングを増やすことができ、ユーザーが途中で離脱するリスクを軽減することができる。そして重要なのは報酬を与える、という現象であり、その報酬そのものの価値とはあまり相関がないと考えられることだ。もっと言ってしまえば、具体的にはゲーム資産を与えずもただの称号のアンロックだけでも効果はあると考える。例えばスライムを倒すだけでは、もらえる経験値もお金もごく僅かだが、最初の一匹を倒したタイミングで、【初めての討伐】や【冒険者への第一歩】などの称号が貰えればユーザー体験も変わってくるだろう。

広告でもよく見る、インストールだけでガチャ〇〇連などもこの双曲曲線のすぐ手に入る報酬、という部分をアピールしているのだと思う。

 

まとめ

双曲曲線そのものは経済的には非合理的だが、生存率に関する優位性があることから、我々の考え方に深く根ざした概念だと思われる。うまく活用することで、ユーザーにより熱中してもらえるゲームを作る手助けになるだろう。