ゲーム作りに使える解析手法としてフォルトツリー解析を紹介する
フォルトツリー解析とは
発生して欲しくない事象からその原因となる要素を書き出し、それらの事象の発生原因、発生経路を明らかにする解析手法、故障木解析ともいう。現実では原子力プラント、化学プラント、交通システムなど幅広く応用され、一定の効果を発揮している。
フォルトツリー解析の方法
フォルトツリー解析の手順を簡単に説明する
1. 望ましくない事象を定義する
2. 定義した事象の発生原因となり得るものを列挙する
3. さらに発生原因を発生させる原因を列挙する
本来はここに発生確率や論理ゲートを用いてより正確に分析するのだが、一旦は上記の手順で肝となる部分は利用できるだろう。
ゲーム開発に対してのフォルトツリー解析の適用
この解析手法をゲーム開発に適用してみる。
1. 望ましく無い事象を定義する
個人ゲーム開発に置いて望ましくない事象は以下のようなものが挙げられるだろう
- ユーザーに認知されない
- ユーザーが紹介ページを訪れてもダウンロード(or購入)されない
- 大多数のユーザーが初日で離脱する
- 課金要素を入れたが全く利用されない
この中から"大多数のユーザーが初日で離脱する"事象の解析を行ってみる
2. 定義した発生原因を発生させる原因を列挙する
どのような原因でユーザーが初日で離脱するかを列挙する
- DL時間が長い
- ゲームの動作が重い、発熱がひどい
- ゲーム開始前に設定する項目が多い
- ゲーム開始時に覚えることが多い
- チュートリアルプレイで面白さを感じることができない
- チュートリアルが終わった後に何をすれば良いのかがわからない
- キャラクターが魅力的でない
- 事前に想定していたプレイ体験と現実のそれが解離している
- ゲームが難しすぎる/簡単すぎる
この中からさらに発生原因を掘り下げていく、"ゲーム開始時に覚えることが多い"を選んでみる
3. さらに発生原因を発生させる原因を列挙する
ゲーム開始前に覚えることが多い事象を発生させる原因を列挙する
- ゲーム要素が多い
- ルールが複雑
- 序盤に全ての機能をまとめて紹介している
- ゲーム開始時に全ての機能が解放された状態になっている
一つの経路しか出していないが以下の図のようになる
あとは他の事象に対しても同様に原因を深掘りしていく
本来のフォルトツリー解析ではここから各事象の発生確率を求めるのだが、今回はゲーム用に少し変えて、事象に対する影響が大きそうなものをマークしていき、それらから積極的に改善していく、という塩梅だ。
まとめ
ゲームの改善をするとき、どうすれば悪いことが発生しないかを考え、図に起こすことでゲーム全体を理解し、より効率的な改善策を出すことができるだろう。
参考
参考書籍