ゲーム作りに使える心理学としてアンダーマイニング効果を紹介する
動機づけに関連する内容のため、以下を先に読んでいるとわかりやすいだろう
ゲーム作りに使える心理学【外発的動機づけ、内発的動機づけ】 - gametips
アンダーマイニング効果
内発的動機づけに基づいて行っていた行動に対して、報酬を与えると行動に対してのモチベーションが下がる、ということ。Underminingは弱体化させる、台無しにする、の意。
アンダーマイニングの例
身近なアンダーマイニングの例だと、子供に対して勉強したらゲームを買ってあげる、という約束をすることが挙げられる。この場合、子供にとっての勉強はゲームを買ってもらうために仕方がなく行うことになる。その結果、勉強そのものに対しての内発的動機づけが弱くなってしまう、ということだ。
ボランティア活動に対して報酬を払い始める、というのもそうだろう。ボランティア活動は無償の奉仕活動であり、これは内発的動機に基づいて行われる。しかしながら、日頃の活動の感謝や、もっと活動してほしい、という理由から報酬を上げてしまうと。それがお金をもらってやる仕事となってしまい、勉強の時と同様に、内発的動機づけが弱まってしまう。
ただし、行う行動に対して一定の内発的動機づけを持っている場合は、報酬を与えてもアンダーマイニング効果が発生しない、という考えもあるので外部からの報酬が必ず内発的動機づけを弱めるというわけではない。
ちなみに、アンダーマイニング効果を効率的に引き起こす報酬は金銭だそうだ。
ゲームにおけるアンダーマイニングの例
ゲームをプレイするかどうかに関しては、基本的に内発的動機づけになるので話さずに、ゲーム内で行う行動の動機づけに対してアンダーマイニングを絡めてどのような活用ができるかを考えてみる。
動機づけとアンダーマイニングその1 主目的には外部報酬を与えない
ゲームプレイのメインとなる目的に対してアンダーマイニングを引き起こすような報酬を与えないようにする。例えばRPGで世界を救うときに、王様から"世界を救ってくれたらこの王国の半分をやろう"と提案されたらどうだろうか。プレイヤー見返りを求めず世界を助ける勇者から、王国の半分欲しさに旅する俗物になってしまうだろう。ゲームの主たる目的に対しては金銭や土地などの報酬をつけずに、勇者として世界を救う、俺より強いやつに会いに行く、など内発的報酬をベースにしたほうが良いだろう。
ちなみにどうぶつの森は、主目的としてたぬきに対する借金返済が存在するが、これは建前上のものであり、本来の目的は村や島を開拓することである。そのためにこの借金は無期限、無利子でプレイヤーが返済のために急かされないようになっている。
動機づけとアンダーマイニングその2 過度な罰則を与えない
アンダーマイニングは報酬を与えるのと同様に、罰則を与えても動作するだろう。失敗してほしくないから、ちゃんと操作を覚えてほしいからと過度な罰則を与えるのは逆効果である。といっても、そのようなゲームはあまり見ないので気にすることはないかもしれない。ゲームの良いところは何度失敗しても繰り返せるところだ。
まとめ
外部的動機づけはプレイヤーの行動を促すことはできるが、アンダーマイニング効果のようなデメリットも有る。ゲーム内の報酬それぞれに対して、どこが外部的動機づけ、内部的動機づけにつながるのかを考え、適切に配置していきたい。
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