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ゲーム作りに関するあれこれ

ゲーム作りに使える心理学【忘却曲線】

ゲーム作りに使える心理学として忘却曲線を紹介する

 

忘却曲線

人が覚えた事柄に対する経過時間ごとの忘却率をグラフで表したもの。特に心理学者のエビングハウスによるものが有名である。

エビングハウスの実験

エビングハウスは自分を実験台として以下の実験を行った。それは、無意味な文字列を記憶し、一定時間ごとにどの程度思い出せるかを測定する事である。実験の結果、記憶を行った20分後には内容の40%を忘れ、さらに翌日になると70%近くも忘れていた事がわかった。

人は物事を忘れる

エビングハウスの実験は無意味な文字列の記憶のため、あくまで参考値であるが、人がどれだけ物事を忘れやすいかがわかるだろう。人の脳はずいぶん省エネにできており、必要のないと判断された情報はどんどん忘れていく。なかなか信用の置けないやつなのだ。

ゲームにおける弊害

久しぶりにゲームソフトを起動して、"あれ、次何やろうとしてたんだっけ"、とゲーム内でやろうとしていたことを忘れていた体験はないだろうか。そして街中を散策したり、キャラクターのパラメータを確認したりして、ようやく思い出す。ゲームの操作方法や細かい仕様などを忘れていることもあるだろう。プレイヤーはそれらの失われた記憶を取り戻し、昔のようにプレイを楽しむために労力を払わないといけない。面倒くさがってまたやらなくなってしまうかもしれない。

期間が空いた時にゲームに関する内容を忘れてしまうのはどうしようもない。しかし、ゲーム内でサポートできることもあるだろう。

忘却対策 その1 必要な項目は常に表示されるようにしておく

例えばプレイヤーがアイテムを拾う時に○ボタンを押す必要があれば、アイテムに近づいたらそのアイテムの近くに○ボタンのアイコンを表示する、ということである。必要になった時に必要な情報を提示すればプレイヤーはひとまず目的を達成できる。そしてそれを繰り返していくうちにアイコンを見なくても操作できるようになる。

忘却対策 その2 おさらいをする

ゲームの途中でおさらいを入れるのも良いだろう。例えば新しい章が始まる時に今までのプレイしたストーリーを軽くおさらいするのである。プレイヤーが章の終わりなど、区切りの良いところでゲームを中断していれば、再開した時にストーリーのおさらいができ、思い出す手間が軽くなる。

このシステムは龍が如く0に導入されている。このゲームは章ごとに主人公が入れ替わる構成になっているため、ある主人公の章をクリアしたら、別な主人公の章が始まることがある。主人公の切り替え時に毎回ストーリーを思い出す事が手間となるが、このゲームはおさらいムービーを主人公切り替えのタイミングで挟むことにより、プレイヤーに対する負荷を軽減させている。

忘却対策 その3 リマインダーを出す

ロード画面などでリマインダーを出すのも有効だろう。その内容を覚えていれば記憶が強化され、忘れていれば思い出してもらえる事ができる。ここに表示するのは別に機能の説明以外でも良いだろう。おすすめの戦闘方法や、キャラクターの人物像などを書いてもゲームをより深く楽しんでらえる機会になる。

忘却対策 その4 情報に優先順位をつける

プレイヤーに覚えて欲しい情報に優先順位をつけ、それを重点的にプレイヤーに提示する。細かい情報は最悪忘れてしまっても良いと割り切り、ゲームの面白さを体験するためのコアとなる情報を絶対に忘れない、忘れてもすぐ思い出せるようにするのだ。

まとめ

開発者がどんなに努力してもプレイヤーはゲームに関する物事を忘れてしまう。

プレイヤーを情報面できちんとサポートし、ゲーム内の体験に集中してもらえるようにしていきたい。

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参考

忘却曲線 - Wikipedia