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ゲーム作りに使える心理学【自己決定理論:自律性】

今回は自己決定理論の自律性について掘り下げてみる

ゲーム作りに使える心理学【自己決定理論】 - gametips

自律性のおさらい

自己決定理論における内発的動機づけの根底となる欲求の一つ。自分自身で行動を決めたい、という思い。

ゲームにおいて自律性を感じてもらうためには

自律性は、自分の意思で行動している感覚を与えることで感じてもらえるだろう。具体的にどのようなものがあるかを紹介する。

自律性とサンドボックスゲーム/オープンワールド

プレイヤーが自律性をより強く感じることができるゲームジャンルはマインクラフトに代表されるサンドボックス系ゲームだろう。これらのサンドボックスゲームは目標こそあるが、絶対のものではない。ゲーム内で何をするか、何を目標にするのかはプレイヤーに委ねられているのだ。このことはマインクラフトの実況動画を見ることで確認できるだろう、とあるユーザーはひたすら建造物を作り、他のユーザーは演算器を作成し、また別のユーザーは音楽を奏でている。マインクラフトというソフトの共通点はあるが、中で何をするのか、何をしたいのかはプレイヤー次第なのだ。この要素はプレイヤーの自律性をよく刺激するだろう。

オープンワールドも自律性を刺激するものだろう。オープンワールドもその性質上プレイヤーに様々な選択肢を提供する。プレイヤーはそれらの中から自分がやりたいことを見つけ、ストーリーそっちのけで行動する。これもグランド・セフト・オートVの実況動画を見ればわかるだろう、ストーリーそのものを実直にすすめているものは少なく、Modで遊んだり、ユニークな実験をしているようなものが多い。

自律性と選択肢の多さ

自律性とゲーム内で取れる選択肢の多さには相関がある。取れる選択肢が多いほどプレイヤーは自分で決めることができるため、自律性を刺激することができる。しかし、選択肢をただ増やせばよいということはない。選択肢それぞれに対してプレイヤーがやる意義を見いだ差ない場合、それらの選択肢は有益になるどころか有害になるだろう。

例えば、ストーリーの水増しで似たようなサブミッションを大量に作成することを考えてみる。このときプレイヤーにはストーリーを進めることとサブミッションをすすめることと選択肢ができることになるが、そのうちサブミッションは意義のある選択肢ではなくなるだろう。似たようなストーリー、似たような敵、似たような報酬が繰り返されればプレイヤーはサブミッションに対して新鮮さを感じることはなくなる。プレイヤーはツァイガルニク効果により物事を完結させようとする動機づけがあるが、水増しのサブミッションはその障害になってしまう。

プレイヤーにとって有意義な、そしてやりたい物事があってその中から自分の意思で選択するからこそ自律性が刺激されるのだ。

良い自律性に対する刺激の例 メタルギアソリッド

メタルギアシリーズは自律性を感じさせるためにの要素がある。それは敵に見つかったときにプレイヤーが行う、戦うか逃げるかの選択だ。どちらの選択肢も自分自身を守るための意義のある行動である。プレイヤーは見つかった時自分自身がおかれている状況を瞬時に判断し、行動を決定する。これが自律性を刺激するのだ。

良い自律性に対する刺激の例 侍道

侍道も良い例だろう。このゲームには敵対する派閥がいくつか出てくるが、プレイヤーの行動により、どの派閥に与するかを決めることができる。ゲーム内の細かい判断の積み重ねがプレイヤーの立ち位置を決めるのだ。

まとめ

プレイヤーがゲーム内で取れる行動の中から行いたいものを選択し、実行することで自律性を感じることができる。ただし、その選択肢はどれもプレイヤーにとって意義のあるものであることが条件である。

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