今回は自己決定理論の関係性について掘り下げる
ゲーム作りに使える心理学【自己決定理論】 - gametips
関係性のおさらい
自己決定理論における内発的動機づけの根底となる欲求の一つ。他者と社会的に繋がりたい、という欲求。
なぜ関係性がある行為に対して動機づけが行われるのか
人が関係性を重視することは、人類の進化の歴史をたどれば理解しやすい。人は一人で生存することは難しく、群れを作って様々な困難に立ち向かってきた。その中で他者と関係を築くことは群れの中で生き残るためには重要なスキルだっただろう。つまり人が他者との関係性を求める性質は古来の厳しい環境を生き抜くための適応の結果なのだ。
ゲームにおいて関係性を感じてもらうためには
ゲーム内でプレイヤーに関係性を感じてもらうためには、意義のある社会的交流を提供することが重要である。その具体的な方法を協力、対戦の2つの側面から考えてみる。
協力プレイにおいての関係性
協力プレイや競い合って同一の目標を達成しようと行動することは、関係性の欲求を満たすために役立つだろう。モンスターハンターなどの4人で協力してモンスターを倒すことは、さながら狩猟採集社会での狩りのようだ。
このような活動でより意義を感じるために、どのようなことができるだろうか。それはその集団に自分がいることによるメリットを明確に理解できる、ということだ。例えばMMORPGの役職分けがそうだろう、攻撃が得意なアタッカー、防御力が高いタンク、回復が得意なヒーラーなどが自分自身の役職を全うすることでゲームをクリアした場合、その時感じる満足感は高いものになるだろう。自分がいることで群れの全体生存率を高め、貢献したと感じるのである。
ゲーム内におけるギルドやクラン機能も関係性を感じてもらうために役立つだろう。同じ場所に集い、協力を重ねるごとにプレイヤー同士の交流は密になり、より大きな関係性を感じることができる。
ゲーム内で、フレンドやギルドメンバーの状況を詳しく確認できるようにすることも、関係性を感じるための一つの方法であるだろう。いつログインしたか、どのような装備を手に入れたか、どのような称号を手に入れたのかを通知する。人は元来隣人を気にする生き物である。メンバーのステータスを確認するためにログインするプレイヤーも居るだろう。
対戦プレイにおいての関係性
対戦することでもプレイヤーの関係性を満たすことができるだろう。鬼ごっこやかくれんぼ、だるまさんが転んだなど、それぞれ対立する立場を演じながら楽しむ遊びは多いだろう。対戦で勝利したプレイヤーないしチームはは有能感を感じることができ、それを求めて何度も対戦を繰り返すプレイヤーも多い。
しかし、対戦プレイでは協力プレイと比べて気をつけることが多いだろう。それは勝利して満足するプレイヤーが限られてくるのだ。たとえばバトロワ系ゲームだと勝つのはたった1人、もしくは1チームで残りの大半は敗北することになる。ほとんど勝利できないプレイヤーも多いだろう。この時問題になるのは負けがちなプレイヤーの離脱である。何度プレイしても対戦に負けて有能感を得ることが出来ないのならば、そのゲームに対する動機づけを失ってしまうためだ。格闘ゲームやバトロワ系ゲームのように純粋なスキル対決の場合はまだ良いが、それが装備などのどうあがいても勝ちを拾えないようなものならばなおさらだろう。
そしてプレイヤーが減ったゲームは徐々に衰退していくのである。
この時気をつけるべきことは、まず適切なマッチングだろう。スキル差、装備差が出ないように、それぞれ親しい相手同士とマッチングするようにするのだ。そうすればプレイヤーにとって対戦が適切な難易度となり、動機づけを保つことができるだろう。
他にはゲーム終了時にプレイヤーを細かい項目で褒めることも有効だろう。たとえばオーバーウォッチではゲーム終了後にゲーム内で一番良い行動を行ったプレイヤーを動画付きで褒める。これは勝敗に関係なく決められる。また、チーム内で自分がどれだけチームに貢献したかをランキングと数値で褒めるのだ。敵に与えたダメージはチームで1位、敵を倒した数はチームで3位、などである。こうすれば仮に負けたとして自分がこれだけチームに貢献できた、このくらいの能力を持っていると動機づけを保つことができるのだ。
まとめ
今回は自己決定理論の関係性を掘り下げてみた。
私達は現代になっても、今まで受け継がれてきた生物としての社会的欲求に縛られ、それを求めている。人が集まるゲームを作るときはどれだけプレイヤーによって居心地の良い居場所を提供できるかが、重要になってくるだろう。
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