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ゲーム作りに使える心理学【自己決定理論:有能性】

今回は以前紹介した自己決定理論の有能性の部分について掘り下げる

ゲーム作りに使える心理学【自己決定理論】 - gametips

有能性のおさらい

自己決定理論における内発的動機づけの根底となる欲求の一つ。自分のが能力があると感じたい思い。

ゲームにおいて有能性を感じてもらうには

有能性の欲求を満たすには、以下の感覚をプレイヤーに与えることが重要である

  • 制御感
  • 進行感
  • 習熟感
制御感

自分がゲーム内の物事をコントロールできる、という感覚である。

この物事はどんなに小さいことでも良い、マリオがジャンプしてブロックを壊すのも、ゼルダが剣を振って敵を倒すことも、インクリングがインクを発射して壁を塗るのも、コントロールしている感覚を与える。なにか物事に対してその難易度こそあれ自分が思ったとおりに影響を与えることができればよいのだ。

キャラクターの能力を知り、それがゲーム内の世界に影響を与えることが確信できた時、プレイヤー制御感を持つ。

ゲーム内のフィードバックを工夫すればこの感覚をより強化できるだろう。具体的にはフィードバックの速さとわかりやすさだ。スーパーマリオブラザーズのブロック壊しが良い例である。

まず速さだが、マリオがジャンプしてブロックを壊したときにブロックは瞬時に壊れるだろう。この瞬時に壊れることはマリオがそのブロックを壊したことを明確に表している。仮に、マリオが叩いてから5秒後にブロックが壊れたのならプレイヤーは自分が壊したのか、それとも時間やマリオの位置など、違う条件で勝手に壊れたのかわからないだろう。

次にわかりやすさだが、ブロックが壊れるときにブロックは破片となり四方に飛び散る。この演出により、マリオが力強い力でブロックを叩き割ったということがより強調される。これもブロックが透明にフェードアウトしたのなら叩き割ったという感覚が薄れるだろう。

とにかく、キャラクターのアクションとそれがゲーム内に与える影響を疑う余地なく明朗にプレイヤーに提示することが重要である。

フィードバックの他にキャラクターのペルソナ設定でも、制御感を出すことができるだろう。スパイダーマンバットマンがわかりやすい。彼らはヒーローであり、スキルをもっていることは疑いの余地がない。プレイヤーは彼らをコントロールすることで自分も同様にゲーム内の世界をコントロールできると感じる。

進行感

物事がより良く進んでいる、という感覚である。

ゲームでは進行感を感じるイベントがたくさんある。例えばポケモンでジムリーダーを倒したり、モンハンで新しいクエストを受注できるようになったり、ゼル伝マスターソードを手に入れたりした時がそうだろう。

他には、すでにあるものがより良くなることにも進行感を感じさせることができるだろう、具体的にはHPなどのパラメータアップ、新しいスキルの取得などである。

進行感を出すために重要なことは、進行の見える化だ。ゲーム内で何かが進行したとしてもその演出がなかったり、演出がさっぱりしたものであればプレイヤーは新交換は出しづらい。RPGのレベルアップのときにただレベルが上った、といわずに具体的に力が○ポイント上がったと表現するのはそれぞれのパラメータが上がったことでキャラクターがちゃんと成長していると伝え、進行感を感じさせる役目もあるだろう。

また重要なボスに会った時、それを倒した時、新しいエリアに入った時、貴重なアイテムを入手したときにムービーなどの演出を挟むのも一つの方法だろう。プレイヤーはその演出によりゲームが進行していると感じる。

習熟感

ゲームがうまくなっていると感じる感覚である。

この要素もゲームにはたくさんあるだろう。例えば、今まで倒せなかった敵が倒せた時、格闘ゲームでコンボが決まった時、バトロワFPSで最後まで残った時、パズルゲームで最大連鎖を達成したときなどである。

今まで出来なかったことができるようになったことでプレイヤーは習熟感を感じることができるだろう。

習熟感を出すために重要なことは成長のためのフィードバックと成長の見える化である。フィードバックはプレイヤーの行動に対して何が良かったのか、何が悪かったのかを明確に伝える役目がある。良いことを褒めるフィードバックとしてはコンボを繋げるごとに演出が派手になる、FPSでヘッドショットを決めたときに小気味よい音がなる、ステージクリア後の画面でファンファーレがなる、などである。これらの演出を挟むことでプレイヤーに対してあなたは正しいことをしました、というメッセージを与える。悪いことを叱るフィードバックに関しては、ダメージを受けたときに画面が振動する、キャラクターがのけぞる、キャラクターがやられたときに画面が暗転するなどである。

フィードバックで重要なのはなぜその発生したのかをプレイヤーがきちんと認識できることである。なぜ褒められたのかわからない、なぜ叱られたのかがわからないままだとプレイヤーは自分の行動をどのように修正すればよいかがわからないためだ。

学力テストを受けて結果が返ってこなかったら自分の間違った問題を復習することも出来ない。

成長の見える化は、プレイヤーがどれだけゲームがうまくなったのかを伝える役目がある。勝率、最大コンボ数、称号、ミッション達成数などをプレイヤーに見えるようにして習熟感を感じてもらう。獲得や達成の節目でしっかりとプレイヤーを褒めることを忘れてはいけない。これは進行感と近いところもあるだろう。

まとめ

今回はプレイヤーに有能性を感じてもらうためにどのようなことができるかをまとめた。重要なのは制御感、進行感、習熟感をプレイヤーに感じてもらうことで、そのためにはフィードバックや演出が活用できる。

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