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ゲーム作りに関するあれこれ

ゲームづくりに使える心理学【保有効果】

ゲームづくりに使える心理学として保有効果を紹介する

保有効果

人は所持しているものに対して高い価値を感じ、それを手放すことに対して抵抗感をもつ、ということ。

ダニエル・カーネマンの実験

行動経済学者であるダニエル・カーネマンはこの保有効果をマグカップの実験により検証した。まず学生を集め彼らの半分に$6相当のマグカップを与える、そしてマグカップをもらった学生にそのマグカップをいくらなら手放すか、マグカップをもらわなかった学生にはそのマグカップを手に入れるのにいくら払うか、を聞いた。その結果、マグカップ保有している学生が売っても良いと考えた金額は、中央値で$5.3、マグカップ保有していない学生が買っても良いと考えた金額は、中央値で$2.5だった。自分が所持しているかどうかで、考える価値に2倍以上の差が出たのだ。

日常における保有効果

自分自身が持つ保有効果は持ち物を売るときなどに感じることができるだろう。例えば家や車を売るときを考える。それらには思い出がたくさん詰まっており、自分で言うのもなんだが大切に扱ってきたつもりだ。しかし実際に売りに出してみると思ったより値段がつかない。自分には思い出がたくさん詰まっているものでも買い手にとってはただの中古の物件、車となるからだ。

ゲームにおける保有効果

ゲームに関してはプレイヤーのゲーム内資産がそのまま保有効果の対象となるだろう。特にソーシャルゲームにはレアカード、プレイヤーデータ、ギルド、フレンドなど様々なゲーム資産があるため、プレイヤーは保有効果を感じやすい。今まで積み上げてきたゲーム資産があるからこそ、そのゲームはそのプレイヤーにとって価値があるものとなり、更にプレイして資産を増やしていくのだ。

保有効果の活用その1 プレイヤー資産を可視化する

プレイヤーに保有効果を感じてもらうために、具体的にどのような資産を持っているのかを可視化する。単純なキャラクターのパラメータからゲームプレイ時間などゲームプレイに直接関係なものでもよい。プレイヤーがどれだけこのゲームに時間を費やし、どれだけの資産があるかを示すことが大事だ。

保有効果の活用その2 序盤に資産となるものを与える

ゲーム序盤にゲーム内資産となるものをプレゼントする。最初から失ってしまう資産があるようにしてしまうのだ。具体的にはまとまったゲーム内マネーを与えたり、連続ガチャチケットを与える。プレイヤーはせっかくもらったんだしちょっとやってみるかな、という感覚でゲームをプレイする。最近のソーシャルゲームは予約者数特典がこのような役割を果たしているだろう。

保有効果の活用その3 名前をつけてもらう

ゲームでは結構お決まりの仕様ではあるが、主人公やお連れのキャラクターの名前を プレイヤーに決めてもらうのである。文字入力が面倒になりそうならば、選択肢から選ぶだけでも効果があるだろう。名付けはまさに保有のための儀式であり、保有している感覚を強化することができる。

まとめ

保有効果によりプレイヤーに継続してプレイしてもらうためのヒントを考えてみた。しかしながら、これはあくまでテクニックの一つである。ゲームのコア体験をしっかりとプレイヤーに提供することのほうが重要であることを忘れてはならない。

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参考 

実験室実験

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