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ゲーム作りに関するあれこれ

ゲーム作りにおいて、序盤でプレイヤーにかかる認知負荷を減らす方法を考える

初めてゲームを遊ぶプレイヤーにとって序盤は覚えることが多く大変だ。

そこで今回はどのようにしたらそれらの負荷を減らし、自然に物事を学習できるかを考える。

ゲーム序盤は覚えることが多い

ジャンルを問わず、基本的にゲーム序盤は覚えることがとても多い。キャラクターの移動方法から始まり、アイテムの拾い方、戦闘システムのルール、戦闘コマンド、各種スキルの内容、ゲーム攻略に必要なヒントなど新しい情報が怒涛のように押し寄せてくる。これらの情報を覚え切れるのならば良いのだが、覚え損ねてしまったり、情報を見つけられないまま進んでしまったりしたら大変だ。

プランナーは当然それらの情報をプレイヤーが覚えてくれている想定で仕様を切っているのだが、その前提が崩れてしまうため、プレイヤーにして欲しいゲーム体験を適切に提供できない可能性が出てくる。プレイヤーが覚えたり、理解したりするのに疲れてしまい、そのまま離脱してしまうこともあるだろう。

余談だが私はSEKIROの序盤の説明をよく読まないまま飛ばしてゲームを始めた結果、○ボタン長押しで走ることができることを知らず、結局ストーリークリアしてから気づいたことがある。とても辛い体験だった。

ゲーム序盤のプレイヤーにかかる負荷を減らすには

ゲーム序盤は覚えることが多く、それがプレイヤーにとって負荷となり、ゲーム体験を損ねたり、離脱の原因になったりすることがあると説明した。ではできるだけ負荷を下げるためにどのようなことができるかを考える。

負荷対策その1 覚える情報を減らす

そもそも覚える情報が少ないならそれに越したことはない、10個覚えるより5個覚える方が楽なのは自明だろう。プレイヤーが覚える必要のあるもの、覚えてもらいたいものを一度整理し、本当にそれらが必要なのか、まとめたり代用したりできないのかを考える。

一般的な知識を活用するのも良いだろう。例えば閉ざされている宝物庫を開けたい場合に"緑のクリスタル"と"宝物庫の鍵"とではどちらが宝物庫を開けることができそうかを考える。これは後者だろう、もちろん緑のクリスタルで宝物庫を開けるように作ることはできるが、それだと緑のクリスタルで宝物庫が開くことをどこかで知っておく必要がある。この宝物庫が物語上特別な立ち位置にあるならそのような変化球でも良いかもしれないが、そうでない場合は一般的な知識でわかるようにした方が良い。扉を開けるのは鍵であり、火を消すのは水であり、任務を達成するためには北に向かう必要があるのだ(これは違う)。

負荷対策その2 リマインド機能を実装する

ロード画面や休息タイミングなどで基本的な情報のリマインドを行う。情報の見落としを防ぐとともに、定期的に情報に触れてもらうことで記憶の定着にも繋がるだろう。

負荷対策その3 機能を段階的に解放する

キャラクターの能力に制限をかけることで、その時に覚えて欲しい事柄に集中してもらう。例えばキャラクターが4個の特殊能力を持っており、それらの使い方がスライドにまとまって出てきておしまい、などであったら何度もスライドを見返す羽目になるだろう。またSEKIROの話になるが、このゲームの最序盤は移動しかできない。ここでジャンプ、しゃがみ、張り付き、ぶら下がりなどの基本的な移動の動作を学習する。攻撃ができないのでプレイヤーは移動の学習に集中することができる。

負荷対策その4 必要になった時に情報や機能を解放する

その3と近い部分があるが、覚えるべき事柄が必要になったまさにその時に機能を解放するのである。人は必要に駆られたときの方がそれらの物事の学習効率が良いことがわかっている。例えば鍵のかかっている部屋から出るためには宝箱から鍵を取得しないといけないとする。この情報をキャラクターが部屋に閉じ込められている時に聞くのと、村の広場で聞くのでは前者の方がより記憶に残るだろう。

実際のゲームだとゼルダの伝説BOTWが良い例だろう。このゲームではシーカーストーンというアイテムに特殊能力を追加し、それらを利用して謎解きをしたり、ゲームを有利に進めたりするのだが、序盤は全ての能力が使えない状態になっている。その能力が必要になったタイミングで入手し、それをすぐさま利用して謎解きをすることで、しっかりと学習してもらう、ということだ。

まとめ

序盤でプレイヤーが無理なく学習するにはどうすれば良いかを考えてみた。せっかくプレイヤーに楽しんでもらえるようにゲームを作ったのだ。序盤でつまずいて離脱されてしまうようなことは避けたい。

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