前回の記事でゲーム作りにおいて求められているプレイヤー体験を定義し、その体験を適切に提供することが重要だと説明した
ゲーム作りにおいて、プレイヤーにして欲しい体験を定義することの重要さを整理する - gametips
今回はそのユーザーに求められている体験をどの様にして見つけたら良いかを考える
まず誰でも思いつくのは自分が面白いと思うものをゲームにするということだろう
これはわかりやすい、今までの自分がした体験から面白いと感じたものをそのままプレイヤー体験にするということだ。この体験はビデオゲームで得た体験とは限らない、人によってはスポーツをしたり、友達と鬼ごっこしたり、読書をしたりしている時の体験から来るかもしれない。
むしろゲーム以外で何かに打ち込んだ経験があれば他のプランナーとはまた違う視点でゲーム体験を語ることができるだろう。
例えば、ポケモンの収集による面白さの体験作りには、その生みの親と言われる田尻智氏の幼少期に行った昆虫採集の経験が活かされたという。
この方法には気をつけるべき点が二つある。まず一つ目は自分が面白いと感じたこと、面白いと思っていることが、他のプレイヤーらみるとそうは感じないという場合だ。
考えた体験が周りの人々やそのゲームがターゲットとしているプレイヤーに刺さらないのであれば、いくらその体験がゲームで適切に提供できていようと、プレイヤーは面白くないと感じてしまうだろう。
ここで、人に関わる心理バイアスを一つ紹介してみる。偽の合意効果(False Consensus effect)というものがあり、簡単に説明すると人は自分の考えが他の一般的な人々と同じである、と考える心理傾向である。このバイアスを認識してないと自分がこれだけ面白いと感じるのだからみんなも面白く感じるはずだ、という考えの元、実はそれほど周りにウケない体験を作り出すことになる。
ただし、この場合はゲームにハマってくれるプレイヤーが想定より少なくなってしまう、ということが問題であり、最初からそれほど多くの人にハマって欲しいと思っていない場合は逆に武器になることもあるだろう。ニッチだが、それゆえに尖っているゲームを作ることができれば一部のユーザーへの訴求はとても大きくなるだろう。
今やインターネットで簡単にコンテンツにアクセスできる時代になっているので、世界中の1%をターゲットプレイヤーとしてにエッジの効きまくったゲームを作るのも面白いと思っている。
もう一つの気をつけるべきことが、自分が面白いと感じたときにその感情を提供した機能を適切に認識できていない場合だ。ゲームの要素のうちどの要素に対して自分が面白いと感じたのかをきっちりと切り分けないと、その面白さを再現しようとしたときに、全く関係のない要素を実装してしまうことがある。
例えば、ゼルダの伝説btowの面白さをオープンワールドにあると考えたとして、ただオープンワールドを実装するだけでは同様の面白さは到底再現できないだろう。
この面白さはどこから来たのか、自分はどんな要素を面白いと感じたのかをしっかりと認識する必要がある。
ゲーム作りにおいて求められている体験の見つけ方の一つとしてまずは自分が面白いと思うものを参考にする方法を紹介した。次回はできるだけ客観的にそれらを見つけるにはどうすれば良いかを考えてみる。