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ゲーム作りに関するあれこれ

ゲーム作りと知覚の差異

人々がある物事に対しての知覚に差異があることを前提にそれらをゲーム作りにどのように応用して行けるかを考える

知覚とは

外部から何かしらの刺激を受け取った時に、それがどのようなものであるかを判断すること。例えば、火に手をかざしてあったかいと感じること、花を見てきれいだと感じること、文字を見てその意味を理解することなどである。

本能的な知覚と知識を介する知覚

知覚には大まかに分けて2種類の知覚があると考える。それは本能的な知覚と、知識を介する知覚である。本能的な知覚とは、特別な前提知識が必要なく、例外をのぞいて万人が感じることができるものである。例えば氷を触って冷たいと感じる、大きな音を聞いてうるさいと感じる、暗闇の中で何も見えないと感じるなどである。対して知識を介する知覚とはは、ある物事を知覚するために前提知識が必要なものである。例えば文字は、それを読み理解するために記述されている言語に対する知識が必要となる。仮に前提となる知識を持っていない場合、文字は何やら良くわからない形状の並びとして認識されるだろう。

知覚は必ずしも万人共通のものではない

人は自分が感じていることは相手もほとんど同じように感じるものだと思い込みがちだが実はそうではない、人々がもつ知識や体験の記憶は決して共通のものではないからである。先ほどの文字の例でも挙げたが、あるものを認知するための前提となる知識がなければ、それらは正しく認知されない。

この知識を介する知覚の差異は日常の様々なところに見てとることができる。

例えばあなたの身の回りに特定の分野において造詣が深い人はいないだろうか、彼らはその特定の分野において時に私たちを驚かせるほどの知覚能力を発揮する、電車を一目見てその車番を当てる人、CMで流れているナレーションから声優を当てる人、お酒を一口飲んでその銘柄を当てる人、星空から星座をすぐさま見つける人などである。彼らは持ち前の知識と体験によって他の人たちよりも深いレベルでその分野を知覚することができる。

大人と子供でも知覚に差異が出てくる、子供は持っている知識と経験が少ないため、大人と比べ、知覚の仕方に違いが出てくる。初めて街に出た子供がマンホールを見つけたとしよう。大人はその経験からこれはマンホールであると知覚するが、子供はその知識を持っていないのでそれをマンホールだと知覚できない。

知覚の落とし穴

ここまで知覚と、それらは私たちにとって必ずしも共通のものではなことを説明した。この知覚の差異は相手に何かを伝えようとする時に障害となることがある。物事を伝える時に相手に知覚するための適切な知識や経験がない場合、それらはうまく伝わらなくなることがあるからだ。日本語が読めない外国人にとって日本語の案内看板は目的地を伝えることができず、数学者が話す微分の面白さは数学の知識がない人たちにはうまく伝わらないだろう。

ゲーム作りと知覚

やっとゲーム作りに関しての話をする。これらの知覚の差異とその落とし穴はゲーム作りにおいても気をつけるべき項目となる。自分の知覚と他人のそれとの差異を適切に認識していないと、自分だけが面白く、他の人が全く面白くないものができる。

例えばあるゲーム体験を作ろうとして、その体験が別の知識や体験がないと知覚しづらい場合、その前提となる知識、体験を持っていないユーザーにはそのゲーム体験を適切に提供することができなくなる。

まとめ

自分が伝えたい体験は万人が感じる事ができるものなのか、それとも特定の知識、体験を前提にするものなのか、ターゲットユーザーはその前提知識、体験を持っていそうなのか、などを切り分けてゲーム体験を組み立てていきたい。

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